マルシェの準備などであっという間に時間が過ぎてしまっています。今回のマルシェは介護と美に関する店舗の方がご参加予定です。非常に興味深い分野です。
そのやり取りをしていてふと思い出したことがあります。
それは父がホスピスに入院していたころの話です。ホスピスにはラウンジがあり、そこで患者さんや患者さんのご家族の方たちが知り合い、情報を交換したり、お話し相手になったりしていました。
ある患者さんのお身内の男性の事です。この男性がラウンジに姿を現すのはお仕事をされている平日の昼間の時間ということもあり、自営業をされている方なのかもしれない、と思われていました。
私はその場所にいかかったのですが、この男性がご自身の事についてお話をされたと聞いたのです。
男性が言うには、入院している方は女性でこの男性の奥様だという事でした。
奥様の傍で面倒を見たいからという理由で、会社を退職されたそうです。そして、毎日奥様にお化粧を施しているというのです。綺麗にお化粧をして、綺麗な洋服に着替え、一緒に朝を迎えると。
「口紅を差すと微笑んでくれる。それが僕には幸せを感じる時間なんです。でも、少しヘタなお化粧をするとやり直しをさせられます。随分上手になってきたと思ったのだけれど。」
病気をされる前は、毎日綺麗にお化粧をして、週末はおしゃれもしてご主人とお出かけになっていたそうです。
この事は、私の当時のメモに残されていました。とても印象深かったのです。
ご主人は起き上がることができなくなった奥様の
「綺麗でいたい」
という一人の女性としての気持ちに寄り添い、ともに時間を過ごすことでお互いの存在を確認しあう。もちろんその根源は愛情です。その愛情の深さを当時の私は感じたのだと思います。
きっと今も愛情は続いていることでしょう。例え離れたところにいたとしても。