随分前ですが、ある番組で取り上げていた内容です。
小野田 元少尉は戦争が終わったことを知らず、フィリピン ルバング島に30年近く戦闘を続けた後、投降した方です。
この小野田元少尉はゲリラ戦を闘うことができたそうで島の一般の人と衝突を続けました。結果、島民30名が命を落とし、100名が怪我を負ったそうです。
その中には、父親を殺され、夢だった進学もあきらめ、兄弟のために働いた男性がいました。
小野田元少尉は投降した後、ブラジルへ渡ります。そこで蓄えた2万ドルを島の人に寄付するため再度ルバング島へ渡ります。
父を亡くしたその彼は自分が住む地区に小野田氏を連れてきてよいかと聞かれたそうです。
しかし、その申し出を断ります。
「自分の父親を殺した人間を見て冷静ではいられないからです。自制できる自信がなかったのです。父親を殺した人間を見て冷静ではいられません。だから会わない方がよいのです」
しかし、こう続けます。
「でももう、私は小野田さんを許そうと思います。そして自分もまた、彼に抱いた罪深い考えにゆるしを乞いたいと思います。人はゆるされてしかるべきなのです。私だって罪を犯しかねません。誰もが例外ではないのです。」
私にとってこの番組での主人公は小野田元少尉ではありませんでした。
人生の大きな学びをクリアしたこの男性になんという言葉が適切なのかさえ浮かびません。
ただ、この方の瞳に平和が見えることが強い印象として残っています。